中性脂肪が高い原因は総エネルギー量かも
中性脂肪の検査値が高いのは
血液中で脂肪が溢れているから
血液検査で中性脂肪の数値が150mg/dL以上だった方は、血液中で中性脂肪が溢れている状態です。では、なぜ、どうしてそうなるのか?
中性脂肪の値が高い原因はまず、検査前の食事の過剰摂取、つまり食べ過ぎが考えられます。エネルギー量の多い食事を摂った後は、健康と言われる人でも基準値の150mg/dLを超えることがあります(1)。このような食事の影響を排除するために、血液検査を受ける前には「前日の夕食は軽く済ませて、朝食を食べずに来てください」と言われるのです。
前日の夕食を軽く済ませ、朝食を食べずに検査しても中性脂肪が高い場合は、普段からエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を必要以上に摂り過ぎているか、各器官が受け取って消費しきれない状態が原因と考えられます(2)。
中性脂肪の値が高いと指摘された方は、栄養の需給バランスが崩れているかもしれません。
受け取りを拒否された中性脂肪は
内臓脂肪や異所性脂肪になる
摂り過ぎたエネルギーは、体内で使われずに余ります。余ったエネルギーは皮下脂肪や内臓脂肪、異所性脂肪として体内に溜まっていきます。
皮下脂肪は皮膚のすぐ下の脂肪細胞に溜まった脂肪、内臓脂肪は腸間膜(腹腔内で腸を吊り下げているような膜)などに溜まった脂肪を指します。
異所性脂肪は、本来、脂肪が存在しない組織や器官に溜まる脂肪のことを指し、直接的に臓器に影響を与えると考えられています。例えば膵臓の異所性脂肪は急性膵炎の原因に、肝臓の異所性脂肪は脂肪肝の原因になります。
余った中性脂肪はまず皮下脂肪として蓄えられますが、一定程度いっぱいになると内臓脂肪として溜まります。腸間膜もいっぱいになると、あるいは腸間膜とともに膵臓、肝臓、心臓、動脈などのまわりにまで沈着して、異所性脂肪となっていきます。
内臓脂肪や異所性脂肪は皮下脂肪よりも血液中の中性脂肪への影響が強いです。
太っているようには見えなくても内臓脂肪がたくさんある人では、中性脂肪の値が上がります(3)。
男性に多い内臓脂肪型肥満、いわゆるリンゴ型肥満と診断された方(腹囲85cm以上の男性、90cm以上の女性)はご注意ください(4)。
中性脂肪の単位mg/dLは
血液100mL中の中性脂肪の量
中性脂肪の値は、血液中にどれくらい中性脂肪があるかを表しています。例えば、体重65kgで中性脂肪の値が150mg/dLの男性の場合、血液中に約7.1gの中性脂肪があると推算できます※。
中性脂肪はお腹のまわりのぜい肉、脂肪と同じもので、まさに脂(あぶら)、脂質ですので、血液中にこれだけの脂肪があるということになります。
数値ではあまり実感が湧かない方のために脂質検査で測定に使われる血清(血液から赤血球などの成分と血餅を抜いたもの)をご紹介します(下部リーフレット参照)。150mg/dL未満の方は透明ですが、150〜500mg/dLはわずかに白濁、500mg/dL以上の方は白濁している状態です。中性脂肪の数値が150mg/dLを超えると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まり(5-7)、1,000 mg/dLを超えると、急性膵炎のリスクにもなることがわかっています(8)。
※計算方法は次のとおりです。血液量は体重のおおよそ1/13なので、65kg÷13=5kg。血液の比重を1.05とすると、5kg÷1.05=約4.76Lの血液量があることになります。中性脂肪の値は150mg/dLなので1Lで換算すると1.5g/L。よって中性脂肪の量は4.76L×1.5g/L=7.14gとなります。